ラグビーワールドカップの決勝が31日、トゥイッケナムで行われ、ニュージーランド(NZ)が34-17でオーストラリアを破り、2大会連続3度目の優勝を決めた。
試合は前半30分までは静かに進んだ。7分にNZがSOカーターのPGで先制。13分にオーストラリアがSOフォーリーのPGで同点に追いつくが、26分にNZはカーターのPGで6−3と勝ち越し。
35分にCTBノヌ-の突破を起点に得たPGをカーターが決めて9−3。さらに38分、ハーフウェーのラインアウトから9フェイズを重ねてオーストラリアのディフェンスを崩し、最後は目の前に開いたスペースを突いたCTBコンラッド・スミスが無理せずにボールを動かして相手ディフェンスを幻惑。SHアーロン・スミス-FLリッチー・マコウ-WTBミルナー・スカッダーとつないで右隅に完璧なトライ。
後半もNZはキックオフからボールを動かし、ハーフタイムにコンラッド・スミスとの交代で入ったばかりのCTBソニービル・ウィリアムズのオフロードパスからノヌーが50m独走トライ。NZが21−3まで差を広げる。
しかしこれで勝負は決まらない。
51分、オーストラリアが攻め込んだ場面でNZのFBベン・スミスがスピアータックルでイエローカード。このPKからワラビーズはラインアウトモールを一気に押し切ってトライ。その後は攻めあぐんだが、数的優位の切れる寸前、最後のプレーでCTBクリドラニがトライを決め、21−17の4点差に追い上げた。
70分、SOカーターが正面40mのロングDGを鮮やかに成功。
1トライでいつけない7点差に広げると、次のキックオフ後にハーフウェー付近で得たPKで正面左50mのロングPGを蹴り込み27-17、ワンチャンスでは追いつけない10点差まであっという間にリードを広げる。
10点差にされたことで、焦りが出たのがワラビーズだった。
ゲニアに変わって入ったSHフィップスが早いテンポでボールを動かし、観衆を沸かすものの、効果的にゲインできない。ワンチャンスで同点に追いつくためのDGチャンスを作る気配もないまま残り時間ばかりが減っていく。
重ねたフェイズが18まで達し、手詰まり感が漂った矢先、WTBミッチェルがノックオン。ここからNZはFBベン・スミスがカウンターに出て、タッチに詰まると相手の背後にキック。これを猛ダッシュで拾った交代出場のWTBバレットが相手DFを抜き去って広い、ゴールポスト中央にトライ。カーターがコンバージョンを蹴り込み、34−17と試合を仕上げた。
最終スコアは34−17。決勝では、1999年大会のオーストラリア35−12フランスの23点差、1987年大会のNZ29−8フランスに次ぐ大差となった。
ラグビーワールドカップの2大会連続優勝は史上初めてで、NZの3度目の優勝は単独最多。また、NZが国外で行われたワールドカップで優勝したのは初めて。
オーストラリアは、エディー・ジョーンズ監督が率いた2003年大会以来の準優勝に終わった。
第9回ラグビーワールドカップは4年後の2019年、日本で開催される。
2019年9月20日(金)に東京スタジアム(味スタ)で開幕。
11月1日(土)に横浜スタジアム(日産スタ)で決勝が行われる。
そのとき優勝カップを掲げるのはいったいどこのチームになるのか?
大友信彦 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。プロフィールページへ |